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今現在隣りに居る彼が朝に弱いというのは、ある意味自分にとっては都合のいいことかもしれない。
白いシーツに、金と黒のツートンがとてもよく映えていた。
誘われるようにそっと金の方の髪に触れて、指先を絡める。数時間前の戯れのせいか、僅かに湿っているようにも感じた。
うつぶせに眠る彼の背中はシーツを被っておらず、一般人と比べ色白な肌が剥き出しになっている。
髪に触れていた手をするすると首筋に添え、そこから背骨を辿るように指を下へ降ろしていく。
ぴくん
僅かに彼の肩が跳ねる。背骨を辿る指先は一時停止を余儀なくされた。
ちら、と様子を伺うよう視線を送ると、「んー…」、といつもと変わらない唸り声を上げて、それは再び安らかな寝息に戻った。
ふ、と安心して口許を緩める。
こうしてレム睡眠に入っている彼に些細な悪戯をすることが堪らなく好きだった。
起きないで、そんなことを思う傍ら、彼が起きたら朝一番のキスをせがむのも悪くはないと小さな妄想に胸をときめかせてみる短い時間が、
この上ない快感になっていくのが好きで仕方がなかった。
背中を撫でる指先に緊張とときめきが入り交じった鼓動が伝わり今にも彼を起こしてしまうのではないか、そんな綱渡りのようなギリギリが心を焦らせる。
停止していた指先を、再び再開させた。
背中の窪みに指の腹は丁度よくフィットして、肉の弾力が神経の一本一本を通じて身体に突き刺さるように感じる。
調子に乗って腰まで達した指先を、一気にするーっ、と肩まで上げてみた。
彼は相変わらず、安らかに寝息を立てたままだ。
(しかし今日は起きないな)
いつもならそろそろ、「寝てる時にちょっかい出すのやめてって…」などと言いつつ首に抱き付いてくるころなのに。
昨日はあんな元気だったのにね、疲れちゃったのかな、なんて一人笑ってみたりして。
彼の肩を、軽く掴んでみた。
背筋が僅かに動いた気がするけど、今更そんなのは気にしない。肩を掴む手のひらの力を解いて、添えるような形にする。
先ほどまで指先が触れていた背中の窪みに、ゆっくりと舌を這わせていった。
脂の味がした。その中に微かな塩辛さも感じる。きっと数時間前の汗だろう。
「…んん」
彼はたまらず身をよじらせた。そろそろお寝むの時間は終わりにしよう。そう言うように這わせた舌を徐々に下へ下へと下げていく。
先ほどの指先よりもゆっくりと、焦らすようにいやらしい舌先で。
舌が腰と骨盤の境界ギリギリまで辿り着いた時だった。
「ぎしょうくんやめて。」
まだ完全には夢から覚めていない彼が、一言紡ぎながら覆い被さる俺を蹴ってきたのは。
背中にあたる彼のつまさきを少しだけ恨めしく感じながら、彼の上から身を退いた。
そして彼の隣りに身体を投げ出すよう横になると、案の定首に抱き付かれた。
まだ寝足りないのか、彼は瞳を閉じたまま擦り寄ってくる。
「くすぐったいよ、腰は」
「兄さんがなかなか起きひんから」
「昨日、はりきり過ぎたから。ぎしょうくんがヤケに可愛かったし」
数時間前を思い出して少し苦笑する。
兄さんは相変わらずマイペースな笑みを浮かべているままだ。
甘えてくるように肌を擦り合わせてくる彼を宥める為、額に唇を落として後頭部を撫でてやる。大人しくなった。わかりやすい。
と、思ったら彼は再び眠りの世界へ入ってしまう寸前だった。うとうとと規則正しい寝息をまた作っている。
しかしこのまままた寝られてしまったら困るので、耳元に生暖かい息を吹き掛け小声で囁く。
「今日は俺が朝食作りますから」
朝食の一言に、ゆっくり眩しそうに瞳を開いた彼は、俺の顔を確認して再び瞳を閉じて笑った。
「もう朝ご飯じゃなくてお昼じゃん」
トン、と指先で胸を叩かれ、確かに、と笑い返す。壁で俺達の行為を見下ろす掛け時計は、もうすぐ午後を示そうとしていた。
ぼんやりと彼の髪を梳くように撫でていたら、彼は枕に頭を預け完全に寝る気満々で一言。
「起きる気しないから、もっかい寝よう」
二度寝すると長いんだよなぁ、なんていう俺の気持ちも知らず、彼は閉じた瞳を決して開こうとはしない。
こうやって決め込んだ彼には何をしても無駄だ。それを知っている俺は諦めて同じように瞳を伏せた。
(全く、かなわんわ)
心の中で溜息しつつ、満更でもない自分に笑ってしまった。
あなたがまた夢から覚める時、
瞳を開けたら同じように俺が目の前にいることを願って、
俺たちは、二度目の夢へダイブした。
20070330
ぎはくに見せかけたはくぎだったりするんですけどね。
まぁどっちでもいいです、個人的には。
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